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息子、投薬中断|ストラテラ3・4日目

Posted on 26/01/2011 02:02 by なわでいず

発達障害を抱える息子へストラテラの投薬を開始して4日が経過した。

前のエントリを終えた投薬3日目にあたる昨夜には、すでに中断を覚悟していた。

4日目の朝は、前夜遅くまで起きていたために、寝起きが悪い。週6日は寝起きがよろしくない(つまり根本的に寝起きは悪い)ので、このへんはあまり気にしてはいなかったが、どうしても「ごはん食べたくない」と言われると、副作用を懸念しないはずがない。体重を計ると23.0kg。昨日より600gも減っている。2日目まで計り損ねてしまったのだが、前週は着衣で 24kgを前後していた。

一応、話を聞いてみる。「なかなかおなかが空かない」ので、食事をしようと思えないのだと言う。

今朝はホームベーカリーで胚芽をまぜた食パンが焼けている。「焼きたてだよ〜ふわふわだよ〜ジャム大サービスしちゃうよ〜」と、6枚切りくらいの厚さにスライスした食パンを半分に切り、カリカリのみみを落とし、いちごジャムをたっぷりサンドしたものを供すると、かろうじて食べてくれた。小さな幼児用マグカップに牛乳で作ったミロも、なんとか飲んでくれた。

食後のお薬は、やはりわたしが笑顔で褒めるからすすんで飲もうとしてくれていたのだろう。今朝もスティックタイプのぶどうゼリーをまずは2口ほどゼリーだけ丸呑み、次にカプセルを中心に埋め込んだゼリーを口に含み、20秒くらいでごくりと飲み込み、うれしそうに、ちょっと誇らしげな笑顔。えらいね。すごいねー。

なんて言っていたのも束の間、ただでさえ着替え・洗顔・かばんの中身の準備といった朝の日課は罵声が飛んだって進まない息子が、着替えを散らかしてパンツ一丁で「あたまが痛い」と言い出した。自称・頭痛はこの3ヶ月くらいちょくちょく訴える。いつもおデコの右側を押さえる。小児科と小児心療内科のいずれでも相談したが、「すぐ治まるなら気にしない」で終わっている。保育園では足の爪をはがしてきたときだけはさすがに冷や汗をかいたが、平素「死なない程度に」がボーダーラインの、ネグレクト寸前レベルに豪傑なわたしも心配になる、いつもと違う側頭部を指した。

声がどんどん悲痛になり、「とても痛くてくるしい」「ぐらぐらする」とも言い出したので、ひとまず洋服だけは着るよう言い聞かせ、少し休ませると、5分も待たずに「ちょっとだけ痛くなった」に変化した。

とりあえず保育園でお友だちに会い、雪でつくられた大きなすべり台やかまくら、雪だるまを見たら、頭痛だろうと腹痛だろうと吹っ飛ぶ息子だ。連れていってみよう。

心なしか顔色が悪い。黄色っぽく見えるのは、幾度となく読んだパンフで、重篤な副作用として肝機能の低下を示す「黄疸」に目を奪われていたせいだと思いたいけれど…

保育園に着いた息子は、やっぱりかまくらを見て張り切り出した。保育士たちには状況を告げ、些細でも変調を感じたら連絡をお願いして、後ろめたさいっぱいで仕事へ向かった。

朝、どこそこが痛いだのなんだの言っているからと保育士に伝えておいて、実際に連絡が入ったことは、せいぜい2割だろう。けれど今日はあるなと思っていたら、送り届けて1時間ちょっとですぐに連絡が入った。

今度は後頭部が痛むと訴えているという。保育園でも頭痛はいつもおデコの右側を指している。これはよくない、やっぱり副作用だと思い、「気になる点があればすぐ電話するように」と指示を受けていたU医師へ電話した。

が、さすがの有名医、何度かけても診療中。今日も予約でいっぱいだそう。午前の受付終了時刻ころに電話したら、つながりそうな時刻をお知らせだけはできるだろうと言われ、落ち着かない気分で作業をこなしていって昼を待った。

12時34分に電話を入れると、運良く診察を終えたU医師が、すぐに代わってくださった。

先日お話しした、ちょくちょく訴えるおデコとは違う頭痛を訴え、明らかに食が細り、体重が落ちていると話した時点で、U医師は「薬をいったん中断してください」と言った。

ケータイをたたむときと同じような「パチン」と小気味良い音が、胸に響いた。

投薬を決意しながらも、どこかでほっとした。

投薬せず2、3日様子を見てみようとのことだった。これで食欲が戻り、頭痛を訴えなくなれば、副作用とほぼ特定できる。鎮痛剤を飲ませても大丈夫だという。保育園にも電話をかけ、このことを報告した。戸外活動で張り切ったのは最初だけ、途中から頭痛を訴えスピードダウンし、昼食がやはりすすまず、年長児はお昼寝をしない日だったのに浅い眠りに落ちてしまったという。

やめよう、ひとまずお休みしよう。

12月で有休を使い果たし、1月は水漏れ工事や病院と無給休暇の連発ですさまじく引かれた給与明細にも、今日は落ち込む余地もない。いまは保育園でウイルス性胃腸炎、りんご病が流行っている。だけど正直、薬の副作用を一番疑っている。ストラテラを休めてよかった。合わなかったか。合わなかったらどうなるんだろう。だけど今は、少なくとも今日だけは休めてよかった。つらい息子を見守ることすらままならないなんて耐えられない。葛藤で忙しい。

フツーに元気な息子を迎えに行って、薬をしばしお休みすることを告げた。「えーぼく飲みたいよー」なんでだよ。「でもね、ぼく、おくすり飲んだらお腹がすかなくなったんだ」

勝手にひも付けしたのか、まったくニュートラルな息子だからこそ感じられたことなのか、読み取れない自分がもどかしい。親失格じゃない?大反省。。

何か感じ取ったのか、夕飯はしっかりと食べてくれた。せっかく作ったのにあまり箸が進まなかった、ミートボールと白菜、大好きな春雨のスープ、ごはんはふりかけと納豆でお代わりもしてくれた。どれだけ黙って食べろと言っても、帰り際にコマをうまくまわせたことを延々話し続けるビョーキ全開ではあったが。しかも食後には、母がこっそり食べ残していたポテトチップスまで。

まずは、体重の減少と食欲の減退、頭痛やかゆみが治まってくれることを祈る。

いま治まったら、ストラテラの副作用である可能性が非常に高くなる。ストラテラは通常小児に1.2mg/kgから投与を始める。息子はスタート時24kgと申請しているので、12mg/日の計算だが、5mg×2=10mg/日で2週間様子を見ることになっていた。通常維持量は 1.2mg-1.8mg/kgとされているので、24kg計算では28.8-43.2mgが現在の体重では最終的な投与量に至る計算だ。あまり口数の多くない医師なのだが、おそらく「薬を飲むという行為を日課にする」「薬が飲めるようになる」「相性の問題の有無を確認する」くらいの目的なのだろうと察している。効果などおよそ期待できない通常量の1/3ほどの量で、副作用だけはあらわれたというのか。

火曜日の保育園での個人面談では、土曜から投薬を開始したことは事前から報告してあったためか、保育士が「お薬を飲んでる前提を知っているからかもしれないけれど、なんか違うんですよ息子ちゃん!」と話す。んーどうだろう。たぶんプラセボ。しかも他人にあらわれたってかww

 

日本イーライリリーのプレスリリースで紹介されている(リンクしています)とおり、一般名アトモキセチン塩酸塩のストラテラは、開く言うと、メチルフェニデートにあたるコンサータ(と、依存や自殺、売買が悪目立ちしてナルコレプシーにしか処方されなくなったリタリン。リンク先はWikipedia)よりはマイルドな処方だという。

このふたつの大きな相違は、中枢神経刺激剤か、非中枢神経刺激剤か。その違いは、字面だけでもすごく大きい。中枢神経刺激剤は、狭義で「覚醒剤」を指すのだから。カフェインなども広義では仲間に入るのだとでも捉えていないと、キツい。

メチルフェニデート塩酸塩(コンサータ)は、脳内の神経細胞感で情報を伝える役割を果たしている神経伝達物質(ドパミン、ノルアドレナリン)の働きを活性化することにより、AD/HDの症状である不注意、多動性、衝動性などの症状を改善すると考えられています。

(コンサータ錠パンフレットより引用)

脳の中の情報伝達は、神経細胞から神経細胞へと神経伝達物質を介した電気信号を伝えることによって行われている。

メチルフェニデート塩酸塩は、ドパミンやノルアドレナリンがシナプス(神経細胞どうしの情報伝達を担う各神経細胞の部位のこと。シナプス間で神経伝達物質のやり取りが行われることで、情報が伝達される)へ届く前に、ドパミンらを神経細胞内へ再取り込みするトランスポーターをブロックすることで、シナプス間のドパミンの量を増加させるといわれている。

ここで重要なのは、「ドパミンやノルアドレナリンがシナプスへ届く前にトランスポーターがドパミンと(以下略)を再取り込みしてしまい、うまくはたらかない状態がAD/HDと考えられている」ということ。

考えられている

わたしはいまこれを打っていても、意味がよくわからないくらい知識も知能もない。専門家は確定の赤ランプが点せないだけで、ほぼ特定しているところまで突き止めているのかもしれない。しかし、先のエントリでも記しているように、そもそもそんな疾患が存在するのかどうかというところから、精神疾患か、はたまたそうではないのか(リンク先はWikipedia)から論議されているのが、AD/HDでもある。

実際にメチルフェニデートやアトモキセチンが、トランスポーターをブロックして、ドパミン量を増加させる作用があるとして、必ずしも効果が得られるものでなく、我が息子のような自閉症児は「あくまで併発しているAD/HD」に改善が見られる可能性があるにすぎない。U医師も「劇的に改善するとは思わないでね」と話していらした。もっとも、そこだけでも改善されるだけで、すぐそこの未来への道を進むわたしたちの足元が照らされる思いだ。

けれど、仮に体質的に向かないようであれば、やっぱり保育園児のうちに試してみて正解だったということで、潔く終了させよう。

義務教育に進学するにあたって、わたしこそ緊張しすぎていた。スタートダッシュだけは絶対にキメなくてはと意気込みすぎて、ペルーサ(競馬をご存じない方はどうぞお気になさらず…)になっていた側面は否定できない。

まずは様子見。医師は子どもに無理をさせるくらいなら親が血ヘド吐いて苦労しろぐらいのことを平気で言うタイプだ、息子に負担があれば、再開も勧めないだろう。根気も時間もより多く要する「ペアレント・トレーニング」や、一年は待つことになるだろう療育施設への申し込み、絶望しない、焦らない。息子の人生は長い。なんだって試していこう。わたしは今度は良薬にもならなければ。


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  1. 29 01 11 10:15

    息子、投薬再開|ストラテラ初処方から7日目 | naritabrian.com



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