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アメドラ『フォスター家の事情』

Posted on 21/03/2015 21:26 by なわでいず

今年に入ってDlifeの存在を知った。ディズニーが運営している無料放送。

3ヶ月間ほどTSUTAYA DISCASを利用して、アメドラ『クリミナル・マインド』に夢中になり、シーズン5の途中まで観た時点で無料会員へ戻った。喪失感をどう埋めようか考えていた矢先のことだった。Dlifeでは『クリミナル・マインド』が無料で放送されていた。現時点ではシーズン4放映中なので、おさらいがてら録画して観ている。

CMはほぼディズニーの映画やチャンネル内放映ドラマの予告を見るとタイミングの良い新番組がいくつかあって、ふっと気になったのが日本初放送となる『フォスター家の事情』だった。

大人2名に子ども3名のおうちへ子ども2人が迎え入れられる。一軒家で朝は戦争状態のダイニング。焼きたてのパンケーキが山と積まれ、スクランブルエッグがどさっと盛られ、ワイルドに重ねてくサンドイッチをランチに持たせる。バスルームは渋滞で、ルールを守れなければ自宅謹慎の罰則が発動されたりも。映画を観る夜はおっきなボウルに4つもポップコーンをリビングへ運び、ぎゅうぎゅうに寄り添う。

思春期の子どもたち、大人たちはそれぞれの悩みを抱え、ときに衝突する。ここでの大人の対応にはすごく学ばされる。じぶんは正しいと思ったことをする、しかしそれが結果としての善悪がいかなるものかは別。いまは腹が立つけれども愛している。そういえるパートナー関係のすばらしさ。子どもたちは里親制度に苦しめられてもきた。ひどい虐待も受けていた。年代的な反抗的な態度にはときに厳しく、ときに「そうさせてしまう何か」を模索して、「里子であること」への違和感をそれぞれが隠さない。それでもそれらもまるごとあたたかく抱きしめる。戻る平穏な日常がいっそういとおしく見えてくる。

子どもはひとりが大人の連れ子で、ふたりは薬物中毒の詐欺師である母親に捨てられた双子を養子として受け入れられている。男児の方は投薬中のADHDらしい。新しく迎えられる10歳くらいの男の子は(年齢的にも判断するのは早計だろうと思いつつ、エピソードの盛り上げ方から)LGBTかもしれない。実子を持つ母親とパートナーはいずれも女性。

まとめると、同性愛者の女性カップルが両親となり、一方の女性の異性婚時に誕生した息子ひとり、ヒスパニックのジャンキーを実母にもつ男女の双子(男児は多動)、両親の乗った車が事故を起こし母親を亡くし、運転していた父親は収監中のため里親を転々としてきた女児と男児のきょうだいという構成の一家。

 

ちょっとイロモノ的に観てしまうかもしれないとこわごわだった気持ちはどこへいったのだろう。彼女たちはほんとうに自然で、恋愛対象が異性だけという概念をわたしはどこから引っ張り出していたのか疑問に感じるほど。どちらもしなやかさとたくましさを併せ持つすてきな女性で、周囲の無理解にぶつかると悲しくなると同時に、自らを顧みてしまう。

 

あとから知ったのだけど、エグゼクティブプロデュースにジェニファー・ロペスの名がある。彼女は本作でGLAADメディア賞ヴァンガード賞を授与されたという。これはLGBTコミュニティの地位向上に貢献したエンターテインメントへ贈られるものなのだそう。

問題児扱いされてきた少女・キャリーを演じるマイア・ミッチェルがすごく魅力的。顔立ち、表情、スタイルに役どころのすべてがまさにいまさなぎから脱けしっとりと濡れた羽根を開こうとする蝶のようなあやうさをまとっている。遠目に見ると少女らしい線の細さ、近くで見るとふっくらと高いほおやあどけない笑顔、けれどグラマラスに成長し、大人びた表情をする。双子の男の子・ヘスースもまた15歳といえばようやくハナたらすの終息くらいの想像しかできないのだけど、すこし大人っぽさを漂わせはじめたばかりといったエキゾチックな美しさ。

女性カップルのリーナとステフがまたいずれも魅力的。黒人と白人のハーフのリーナはスレンダーで個性的な服装がすごく似合う。ステフは警官姿は凛々しく、ピンクのニット姿は急にかわいらしいブロンド女性になる。それぞれの人生で積んできた徳のようななにかと安心感をおぼえる。

 

大家族モノといえばドタバタしっぱなしで大声で誰かかれかが叫び、ふたたび結束する、みたいなうるささをイメージしていたのが、彼らのたしかに毎日がドタバタなのだけどその日常がいとおしく、うるさいほど泥臭くはなく、かといって非現実的にスタイリッシュでもなく感じる本作。

オープニングがまたすごくすてき。ビーチに面した学校の階段、雑多にものの置かれた洗面所、階段に並ぶノートや本、シロップのたっぷりかけられたパンケーキ、使い込んだ地味な色のキルティングベッドカバーの上で握り合う女性同士の手指。なんとなく「ごくありふれた毎日のいとおしさを、彼らはわたしよりずっと理解している」と毎回思わされるのだ。

ドラマとして楽しく、家族みんなを応援したくなり、考えさせられ、学び。これからも楽しみに観ていこうと思う。

 

※『クリミナル・マインド』も引き続き観てます。34歳ありえないDr.リード大好きいいいいいいいいいいいいい

 


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