ナリタブライアンのなきがらが落ち着く
新冠より連絡を受けた。
土葬されていたナリタブライアンのなきがらが、火葬された。骨壺に収められた。
かつて管理していた調教師が、手をあわせられたそうだ。
以前、記しただろうか。
ナリタブライアンのお墓は、丘にあり傾斜のつづく元CBスタッドの敷地内の一番高いところにある。それは今となっては優駿スタリオンステーションの敷地に眠っていることになる。
風習を重んじる日高地方、CBスタッドの建てた馬頭観音様はお祓いして処分されている。亡くなった馬たちのお墓だけが、ぽつんと取り残されていた。早く、彼らがあるべく、そしてファンが手をあわせられる場所へと移動を検討されていた。(移転以来、優駿SSは見学禁止です)
すでになきがらとなっているナリタブライアンの墓を暴くだなんて、最悪の冒涜だと感じていた。CBスタッドの丘の上はとても美しい場所で、せめて彼だけはいてほしいとの思いが強かったけれど、それはエゴだろう。他所様の敷地となった場所で、死んでまでも肩身の狭い思いを強いられることこそが、彼らにはつらいかもしれない。
長らく移動ができなかった大きな理由のひとつが、費用だった。
アメリカの繁殖牝馬をドイツに渡航させるのに25万と聞いたが、海外に連れていった牝馬を受胎した状態で日本へ帰国させるのに、実に300万もかかった話を聞いていたので、日本への輸出入のいかに高いかを思い知らされていた。
ナリタブライアンのお墓の移動は、それをもぐんと上回る金額を提示されていた。
風前の灯である馬産地で、誰がそんな費用を出せよう。
かつてのオーナーは、亡くなられた。調教師は胸を痛めて引退された。母のなきがらもまた、息子よりも先に他所様の土地となった(旧早田邸にありました)。ナリタブライアン記念館は、取り残された共同オーナーのおひとりの、大きな善意により、存続していた。
なぜ、ナリタブライアンが、どなたかのご厚意をいただかなければならなかったのだろう。純粋に、不思議だ。賞金追加が「高松宮記念4着」という微妙なものであれ、堂々たる10億円ホースである。そんな三冠馬が、20世紀の名馬第一位に輝いたほどの名馬が、なぜ。
ただただ嘆くしかできないなんて、このていたらく。
今回、その問題が、どなたによってクリアされたのかは、まだソースが明らかでないので、伏せておく。
だから今は、「クリアにされた方」へ深く感謝して、ナリタブライアンが今度こそ終の安住の地に落ち着く安堵を、仲間たちと共有していようと思う。
※2011年10月20日追記:
18日、親切な現地の方がリサーチしてくださった。わたしは、ただ自宅でエア土下座をしていただけでは、もういけないなと猛省している。