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息子語録|6歳3ヶ月

Posted on 23/01/2011 01:48 by なわでいず

最初の『息子語録』エントリは6歳7ヶ月なのに逆行しちゃう…とっととエントリしたらいいのに。

我が息子は、4歳10ヶ月にして、「アスペルガー症候群」と診断された。のちに異なる医師に「広汎性発達障害」、今年の夏にはまた別の医師に「アスペルガーではないね。これが高機能自閉症」と言われた。どれなんだ。

突き詰めるつもりはない。医師の見解すら異なっている現状を学ぶ機会にあずかったと思っているだけ。どれもこれもほぼ同じようなものだというのが、わたしの浅はかな知識に導かれて悩み迷いはじき出した結論だから。

 

自閉症からADHDまで、数冊の書物を読み、突き詰めて、病名はさておき「わたしには恐ろしく理解できない疾患」ということだけがよくわかった。

 

息子の大好物、まぐろ。ナマモノ苦手なわたしも数少ない大好きなお刺身

なかなか余計なお世話を

4度の検査を受けたが、知能に問題はなくて(年齢相応を100とするIQで、だいたい100は超える)、だけど生活動作や言語に弱くて、IQ80を前後する。2年弱で4度は、少なくはないだろう。統計学的にも「出た判定で勘案するのが妥当」と言えそうな気がする。

現在は語彙の少なさも手伝ってのことだろうとも思しき、いまいちな会話の成立度合もやむなしと思う。しかし、なぜ知能に問題がなくて、それができないのかと精神論をぶちたくなるシーンは少なくない。

 

つまりわたしこそアスペルガータイプなのだろう。理解してやれないのだ。気づくまでは早かったが、柔軟な捉え方にシフトできるのは、親しいママ友たちとたまのおしゃべりタイムで、やさしい彼女たちの発言を聞くときだけ。普通の子を育てるにもよくない「叱るではなく怒る」が常みたいになっていて、母親こそが発達障害で恐れる二次障害への引き金をひいてしまっていまいかと不安と交錯しながら、やっぱりガミガミしてしまう。

 

いわゆる「行間を読む」能力がまるっと欠落しているのも特徴らしいことを知ったときが、いちばんつらかった。

言われたことを字面そのままに受け取ることしかできない。実直と言えば実直なんだろうけど。

わたしは逆に無駄だと恥ずかしくなるほど「その裏」を読む性癖が身に付いていた。人の顔色をうかがうイヤな子どもだった。感受性が強くて、そんな自分が大嫌いだった。その感性は読書に生きた。作文を書く時間は最初に2枚目の作文用紙を取りに行く子で、読書感想文を書かせたら花丸タイプだった。中学校で読んだ森鴎外の「舞姫」に胸が震えた。遠藤周作の「沈黙」に慟哭した。そして太宰治に傾倒して、小林多喜二の「蟹工船」には、荒削りなれどほとばしる情熱がページに触れるわたしの指を焦がしたようにも感じた。

息子は、生まれついてそれを理解できないのかと、ショックだった。

 

頭の良い大親友が「俺も蟹工船は『オレは絶対蟹工船に乗りたくない』と思っただけだ」と笑った。ちょっと救われた。たしかにそうだな。

 

そんなんだから、息子は脳の機能的問題で「相手の気持ちを察する」という能力を携えていない。社交性がないと生きてゆけない世の中、何か行動を起こす前に「それをすることで誰かがイヤな思いをしないかどうかを考えてみよう」と促したり…も、いつもできているわけではない。

 

そんな息子が、今年の夏ころから、毎日言うようになった。

「やっぱりおかあさんのつくってくれる

ごはんがいーーーーーっちばんおいしいね!」

濃い口のアホ面でも、にっこりする我が子は、やっぱりいとおしい。

あるときそんなことをつぶやいた息子に、わたしが満面の笑みを浮かべた。以来、息子は前日に外食でおいしいものを食べても、ちょっと残念そうな表情は隠せないけれど、やっぱりそう言うようになった。

ごはんは週に2回くらい炊いて、あとは冷凍。おかずも週末につくり置きのできる常備菜を冷蔵庫にドカッと、ハンバーグなどは焼いてから冷凍という乱暴な食生活。時間さえあれば、台所に何時間でも立って好きなものをお料理していたいわたしにとってこれはちょっと苦行だった。2歳くらいまではおやつもすべて手づくりして育てた息子に、できたてのおいしさを味わってもらえないのが苦痛でならなかった。それすら難しくなって、週に2度くらい出来合いで済ませる日々が続き、前の仕事を辞めた。でも結局はよくなったとはとても言えず、かなわぬならせめてと、出来合いでない食事を心がけてはいるものの、これが本当に適当なのかどうか、正直自信がない。

朝は叩き起こしてなんとかごはんを食べさせ、帰宅すればレンジでチンだけで食べられる状態にしてあった食事か、3日間は続くカレーやら肉じゃがだったりの、最愛の息子にひどい食生活。

 

病名なんてどうだっていい。息子の発言の意図を知りたいと思う。息子がわたしを気づかってくれているのだとしたら、心の成長を喜ぶと同時に、ひどく申し訳ない。脳の気質的な問題ではなく、わたしの遺伝が影響したのならば、どう償えばいい?

母の笑顔を見たいがゆえの発言だとしたら、わたしの現在の生活は、あまり正しくないのかもしれない。

 

嫌いなピーマンの入った野菜炒めで済ませたり、きんぴらごぼうと切干し大根の煮物に焼き魚みたいな年寄りくさい日、最悪カップ麺だったりする日(息子の大好物だというところがまた悲しい)にも、毎晩「やっぱりおかあさんのつくってくれたごはんが…」と言い出すたび、ちょっぴりズキンとする。

北海道からカニはじめおいしいものお届け


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