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ビワタケヒデを本当に好きなのか考察した

Posted on 25/09/2010 19:00 by なわでいず
1999/09/27_CBスタッドにてビワタケヒデ4歳(新馬齢表記)

1999/09/27_CBスタッドにてビワタケヒデ4歳(新馬齢表記)

ここ数日、ずっと考えていた。

「わたしはビワタケヒデが本当にきちんと大好きだろうか?」

競馬仲間に聞かれたら「アホか!」と笑い飛ばすような愚問とストレートに思えるはずなのだけど、それでももう一度真剣に自問自答していた。

タケヒデに会ったのは、彼が屈腱炎を患い、種牡馬としてスタッドインしたCBスタッドが最初で、それは全兄・ナリタブライアンが死んで間もなくのことだった。

ナリタブライアンに魅せられて競馬の底なし沼に溺れていったわたし。ナリタブライアンの全弟は1995年生まれのビワタケヒデ・1997年生まれのビワタイテイの2頭がいる。3頭いたはずのパシフィカス×ブライアンズタイムの牡馬で存命しているのはタケヒデだけ。

さしもの愚鈍なわたしも、ブライアンズタイムとナリタブライアンの共通してもつ雰囲気には驚愕させられるほどだった。ナリタブライアンの死後、放牧地にたたずむブライアンズタイムを見て、心臓が止まるような思いをした。

ブライアンズタイムとビワタケヒデはそれほど似ているとは思わないけれど、ナリタブライアンとビワタケヒデはよく似ている。おデコの白、鼻にかかる白、やや細身で優美な肢体、繊細そうな、高貴な部分は酷似していた。
しばらくはタケヒデを見るとギクッとして、胸が痛み、上品な顔と向き合えばブライアンを投影して泣いてしまうことをやっぱり泣いて詫びていた。

どことなく贖罪を感じていた。

正直いうと、今はそれがまったくないことに、ちょっとしたきっかけでふと気づいた。

いつからなくなったのか、どうやってフェードアウトしたのか、定かでない。
記憶を必死にたぐり、種牡馬を廃用となってノーザンホースパークから戻った社台SS荻伏種馬場で過ごしていたころに会いに行っていたあたりから、なくなっていたような気がする。

異常に気になった。

ここの前、というかまだ一応残しているライブドアブログにある2006年からのログを全部あさった。

歴史が浅すぎた。
1997年から2006年まで、競馬に関するwebサイトを開設していた。それを直して再アップしようと思い、このドメインを取得し、ここのレンタルサーバを契約したのに、とりたて考えることなくwordpressをディレクトリ直下にインストールした。
そもそもアップできるかどうかも疑わしい、そんなファイルたちを読み直して、過去のわたしをたどってみた。

うらやましいくらい競馬だけに没頭していた。

悲しくなるほどドヘタな写真、しかもphotoshopを使っているのに盛大にヘタクソなレタッチ、顔に似合わなさすぎるポエティックな文章。こんなファイルを随時制作しては公開して、掲示板に集った人たちとリアルで親しくなり、それらが恥ずかしくなり、また差し障りのある毒がまきづらくなって、あげくちょっとした事件に見舞われて、ドメイン更新を止め、そっとサイトを閉じた。
てか、こりゃサイトも閉めるわwww
どんだけポエティックなんだwwwww

ってつぶやきながら、マンゴのリキュールを開けて、泣いた

CBスタッドには、ナリタブライアンのお誕生日と命日には行くようにしていた。ナリタブライアンの命日のお参りは、息子を妊娠中でつわりがひどく、市外どころか産婦人科の予約すらおぼつかなかった2003年以外、欠かさず行っている。早田牧場が倒産したというニュースが入った翌日にも駆けつけている。その時々の様子を、事細かに記していた。

脳から漏れかけていた記録が、綴られていた。

1999年、ブライアンの最初の命日で、タケヒデの前で泣いたこと。

3回目、2001年の命日では、ひと言目にブライアンの話をしたことが申し訳なくて、やっぱり泣いたこと。
4回目の2002年には、新種牡馬として登場したタケヒデのひどい夢を見て泣き、仔を観に競馬場へ足を運び、新種牡馬最初の勝利を挙げたサイヤーとなったことを褒めていた。
初冬には早田牧場の倒産を知った翌日にCBスタッドを訪れ、ナリタブライアンの孝行息子・ダイタクフラッグが出走する菊花賞前日に京都をお参りして、フラッグの無事と、タケヒデの健康を祈って、いただいてきたお守りをタケヒデにプレゼントして、今後を心配していた。
そして、会うたびに、「お腹が痛くなったらすぐ場長さんに言うように」「具合が悪いのは我慢しないこと」と、懇々と言い聞かせていた。なんとうるさい。その後産んだ我が子によりうるさいこと。

‥‥‥。

だからつまり、わたしがひとりごちて贖罪の心持ちも失わずにいようと過ごしていたのかもしれない。自分で言いたくないけれど、無駄にまっすぐな精神が、自分を許しがたくて、失わずに保ってきたのかもしれない。

2006年に綴っていた。

「わたしが愛したのは、あの仔の血なのか」

長年の不安を文字に起こしてまで、律儀にも怯えていた。

きっかけだ。

今なら言える。

新馬なんか特に、牝系を見て、誰を買うか決める。

シラオキ系みたいな古式ゆかしき血統だったり、好きな牝馬の仔だったり、好きな馬の近親だったり、誰もがひれ伏す世界的名牝を●代母に持っていたり、なんというか、それがワタシのツボ的ブラックタイプなのだ。

競馬へぐいぐい引き戻してくれたウオッカがそうだ。
声を張り上げて泣いたブエナビスタもそうだ。
どっちも母馬が大好きだったんだ。

「記憶のゲーム」といわれる競馬において、血統の意義は大きくて。もともとそういうものなんだ、わたしには。

ヒシマグナムが、ヒシナタリーとナリタブライアンの仔でなければ、好きにならなかったのか。そんな愚問がどこにあろう。

アホか。

義理堅さなんて息子と一緒に産み落としちゃったよ〜ん。
誰が義理なんぞで十勝まで決死の覚悟で行くかドアホ。

大丈夫だよわたし。

そういうことだよタケヒデ。

ゆうべ、帰り際がとても寒くて、タケヒデはカゼなんかひいていないかって思ったんだ。

ナリタブライアンは、わたしの永遠の一番だ。ごめん。
なれど『生きている一番』は、ビワタケヒデだ。

タケヒデ、タケヒデ。
わたし、タケヒデが大好きなんだ。知ってた?

わたしは、兄ちゃんに報告するために、あなたに会いにいくわけじゃない。
あなたに会いたいから、池田町まで走っているんだよ。

無性にタケヒデに会いたくなった。アタマ痛いけど。


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