〜long as grass grows,water runs

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楽●の中の人になってわかるECサイト

Posted on 31/03/2010 23:44 by なわでいず

自分的に冷や汗な出来事があり先走ってエントリしてしまったので、続けざまに○天市場の裏舞台からの景色でも少し話していこう。

数年前、実店舗を構える方々からの、webで実売なり情報発信なりしたいという相談を受けることがしばしばあった。
ネットショップをやりたいという相談に、わたしはいつもこう答えていた。

「どうせやるなら楽●市場しかないでしょ」

今となっては、正しかったかどうか、自信が持てない。
ごめんなさい・・・・・・・・・・・・・・・・

20世紀のうちにインターネットははじめていたが、周囲に今のわたしからは想像できないと言われるほど、当時のワタシに「ネットで買物」なんて概念はなかった。せいぜいヤフオクで個人売買する程度だった。不安が大きかった。
今となっても個人だろうが企業だろうが、信頼できるか否かは相手によると思う。

だいたい、そのくらいネットショッピングには無関心だっただけあって、黎明期から知っていたのはむしろlivedoorのほうだったくらいだ。

明暗を分けたかもしれないが、三木谷社長と堀江元社長、いずれにも発想とその功績には優劣などつけられないと思う。
もともと放浪癖がうっすらあり、とりたて決まった買物もなく、ただぶらぶらと街を歩くのが好きだったし、ことアパレルなんて写真だけでは絶対に買えないと思っていた。
ぼちぼちと利用するようにはなっても、Amazonが主で、数度Yahoo!ショッピングだった。

出産して、好き勝手出歩くのもままならなくなり、あるとき定価が6万ちょっとと高価ながらすぐにも欲しいものが出てきた。近所では頑張っても 3000円まけるというお返事。Yahoo!なら安いかな?とショップ出品を見ていて、ふとその存在を思い出したときが、初めての楽●市場へのアクセス だった。

結局そのときはYahoo!オークション出品ショップとの取引が成立したのだけど、ざっくりと商品を眺め、Yahoo!オークション=安い、という概念がボロボロと崩落した。

楽●ってすっごい安い!

かくしてもうすぐ利用歴5年、んでプラチナ会員歴4年という、どうしようもなく恥ずかしい記録が確実に出る。ワタシが急死しなければ。

昔、カタログ通販はときどき利用していた。
実物がわからないから福袋的な気分で、友人たちと一緒にわいわいとカタログを眺め、送料をワリカンで安くして、忘れたころに届いていた。実物と想像の相違の大きさは覚悟のうえ、1ヶ月後に届くなんてザラだったし、逆を言えば1ヶ月待つことに支障のない買物しかしていなかったんだろう。

それが今や、(去年までだが)医薬品だったり、切らしてしまった食材だったり、たった今観たいDVDだったりもフツーにネットで頼んでしまう。

ユーザの欲求のボーダーは上がる一方で、下がることは決してないという。
たしかにそうだなと思う。

速く届けることはショップの使命になり、3年前にはすでに、注文から5日後にサンクスメール(ショップからの「注文を受け付けました」というファーストメール)が届くショップに「対応が遅すぎる」と辛辣なレビューを書いていた当人なんですから。

そんなECに表裏いずれからも深く関わるワタシが言っちゃあいけないことかもしれないながら、とるものもとりあえず、心の内を明かすと、「楽●市場の繁栄に反比例してデフレスパイラルは悪化の一途をたどるのではないか」という推測を抱いている。

先にも記したように、日本のインターネット通販の2009年度の総売上高は6.6兆円で、うち楽●市場が3兆円ものシェアをもつ。しかし総売上と各ショップの純利の増加は、まったく正比例とはいかないのだ。

DeNAのセミナーでの講話が実話であれば、現在、PC上でのEC市場における売上中の広告宣伝費の割合は、20〜25%。いや、実際に出店されている方々と話すと、「5パーも出してねーよwww誰がそんな●天に儲けさせるかよwww」と笑われたんだけどね。

出店時から大々的な宣伝に重点をおくならば、出店料や人件費なんてチリぐらいにプロモーションに費用をかけるだろう。
実際、某生キャラメルでさんざん叩かれながらも盛大に稼いだ某牧場は、ネット市場に参戦するにあたり、東京に事務所まで構え、ウン千万もの広告費を使ったといわれている。
知名度が頂点に達しており、千歳空港店だけですでに月商3000万円を稼ぎ出していただけに、静かに出店しても人は集まったであろうところ、それでも莫大な宣伝費を投じた理由とは。
そりゃあもちろん、対費用効果をそれなりに見込んだからなんだろうと思う。
競馬の1レースに3000円も張ったら気を失いそうに下半身をガクガクさせてレースを観るチキンな小市民にはわからない考えだけど。

そうしてウン千万を張ってウン億を稼ぎ出す企業は当然まれ。戦術のひとつ「捨て商材合戦」が、結果としてショップは自らの首を締め上げ、無駄にユーザの欲望ボーダーをぐいっと上げてしまっているのではなかろうかと思っている。

たいてい、売りたい商材と売れる商材は違う。じゃあどうするかというと、「捨て商材合戦」を例にとると、ダンピング合戦にむざむざ参戦する商戦。ニーズがそれなりに見込めるような商品力のある商材を、本当に赤字で販売するという戦略。

ミネラルウォーター「コントレックス」や、外国の柔軟仕上剤としてすっかり有名になった「ダウニー」なんて、どれだ けダンピング合戦に陥っているか。

まさにコレら。

楽天でわたしがキングオブ無駄出費しがちなショップのひとつ。

いやつまりお世話になり倒してるという意味にもつながるわけだが…

ee-shoppingはいつまで1500円以上送料無料を続けるんだろう。

いずれも消耗品で、ニーズがあって、ネットショッピングに多少慣れたユーザならば検索して、その結果を「価格が安い順」でソートし、安い店で買うだろう。
そのとき上位にいれば、ひとまずアクセスは稼げる。ダウニーだけ買われたら赤字だけど、ダウニーのページに「こんな商品もあります」と「売りたい商材」をガンガン紹介して、同梱を促す。

自社でコンテナ単位で輸入しているショップなら「薄利」程度で出せる数字かもしれなくとも、ダース単位程度で国内の卸から仕入れるショップでは、それらに追いつくには薄利どころか大出血を覚悟しなくてはならない。それでいて薄利多売でユーザ還元するために対応が遅くなれば、厳しいレビューがつけられる。

従来であればアドワーズなりオーバーチュアなりアフィリエイトなり、あるいは出店しているショッピングモールに持っていかれる広告宣伝費をユーザにあてがうと言えば聞こえはいい。
が、先に述べたように、定価をもつ商材をプロパーで売る店が高い利益を得ているかどうかは、実際にはわからなかったりする。なんたってワタシもそれをやっちまったクチなのだから、これは自信をもって言える。

ワタシが関わったことのあるショップのメイン商材はニッチなもので、いわゆる「商品力」が弱かった。関わりはじめる少し前に、それを懸念したECC(ショッピングモールにおけるショップ運営にあたってアドバイザーとなるモールの中の人たち)からの進言で、商品力の高い商材をひとつだけ入れていた。それを置いているだけでもアクセスが若干増えていたけれど、値段は大手ショップにはとうていかなわなかった。仕入れロットが小さく、むしろその大手ショップで仕入れろってくらい仕入値が高かったのだ。もともと単価が小さく、実に9掛けという無利益商材。

コンビニのカップラーメンの仕入値は、イオンの販売額より高いという話は知られていることだろう。同じような現象は、ネットショップでも起きている。
それをタイムセールなどで本気で赤字価格に値下げして販売したのだ。仕入数を増やすことで卸との交渉が進み、現在は8掛けを切った。とはいえ、未だに一律送料徴収では遠方からの注文では赤字、セールなんてしたものなら、仕入れの安い商材との同梱がないかぎりは戦慄の赤字。単価の小さな商材だからこそまわしやすいのと、経理担当が気を利かせて仕入れ費の仕分けを「宣伝費」として計上するよう進言してくれたおかげで実現できているが、ショップの売上と比例して販促と配送担当は対立しやすいという説を体現させられるハメになった。

有名な経営コンサルタントの講話で「仕入値を割るような価格でモノを販売するなんて愚行はしちゃイカン」とあり、それまでとても興味深く目を輝かせ て聞いていたわたしは、たまらずうつむいてしまうほど情けなくなってしまったが、そうもいかない事情が、ショッピングモールには存在する。

「ユーザへ訴求する商品ページの作り込みを」と言うが、かんたんなことではない。売上を上げるための効率的な広告出展のコンサルティング、商品ページの制作、それらが各々「商売」として成り立っているくらいなのだから。

大手メーカーが倒産したとき、楽●社員が驚いていた。驚いている楽●社員に、わたしは驚愕した。よもや彼らがそれに気づかなかったと言うのか?と。

ダンピングしていくしか生き残れず、しかしそれによって目先の売上高は増えても純利益は激減するばかり、人件費どころか梱包費すら痛くて、やむなく自転車を漕いでる企業も、今も存在すると推測する。

だけどそれをモールは知る由もないのだ。日商だけ見てあれやこれやとアドバイスはしてくれるけれど、大元は売れた分だけマージンを徴収するだけであって、店舗の純利にまで考えを至らせるほどぬるくはない。

やむを得ない。

だが、痛い。

※貼っておいてアレなんだけど、これ、ほんと怖いよね‥‥‥


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